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福原恒雄詩集
(新・日本現代詩文庫)

1,540円

品番:ISBN978-4-8120-1877-4

もうおとなしい屍体ではおれない。きっと
生きている母のために、角の花屋で買って
握りしめていた花束を、記憶を仮装してで
も、探しにでかけなくては。
(「探しにでかけなくては」より)

これまでわたしが感じてきた〈奇妙〉な印象は、おそらくかれ独自のレトリックからやってきている。それは詩においてなにかを表現するための方法ではなく、かれにとっての文体の必然性からやってきた。またそれは、かれが世界をみる思想的な〈斜視〉からきている。ひねくれ、とか意固地ではなく、かれのスタンスが傾いていること――それこそがまっとうな姿なのだ。
(坂井信夫・解説より)

いわば福原にとっての詩とは、戦前は被教育者の一人として、戦後は教育を施す側の一人として、こうした歴史の虚構性をつぶさに追体験していくことの意味にほかならない。それは個々の状況に対し、具体的な行動を起こすものでも、内側で何らかの抽象的な答えを出していくものでもなかった。福原の詩の特徴は、つねに外部状況からは孤立したまま放置され続けている。
(中村不二夫・解説より)

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