子供の頃に見ていた夢で今でも記憶に残っているのは現実感がないのに妙に死をイメージさせるような夢だったり、残酷なおとぎ話のような夢とか、それに空を飛ぶ夢、行きたい場所や会いたい人、探している物がどうしても見つからないといったような目覚めた時に少々気持ちが不安定になってしまうような夢たち。(私が昔繰り返し見た夢はおでこの真ん中に2cm位の底なしの真っ暗な穴が空いている夢。ほんとーに目覚めた時の気持ち悪さといったら……)それが大人になるにつれ、そんな夢は見なくなって最近の見る夢といったらリアルな日常の延長ばかり。
そんな夢ばかりってこともあって大人が書いた「夢日記」なんてねーと正直思ってた。だけど読みはじめて驚いた。私が子供の頃に見ていたような非日常的な世界が日々の「夢日記」として記録されていたのでね。
日々記録された膨大な夢の数に無事読み進めるられるのとも思ったけれど、記録された夢がつながっているわけじゃないから短編を読むように気になるタイトルからでも面白く読める。
夢のジャンルは様々で別人になって夢の中で日常生活をしている日もあれば、幽霊や宇宙人が登場してくる日もある。魔法を使う日もあれば、グロテスクなホラーな日もある。黄金のライオンが夜空を飛んでいく2Dなファンタジーやアニメーションでみる夢の日もある。
自分の体を新しく買い替えてみたり、乗っている間だけおばさんになってしまうローラーコースターに乗る夢は私もちょっと見てみたい。
著者は分裂した人なのか、それともかなりの想像力をお持ちな方なのか。今でもポーもカフカも星新一もデビット・リンチも大好きな私としてはこの夢日記(というよりは一人の頭の中の世界)かなり面白く、興味深く、刺激的に楽しませていただきました。